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お知らせ 2024.04.05

【編集部だより】春の石鎚山

温暖な四国にあっても、標高の高い石鎚山系の春は、麓より1ヶ月以上も遅れてやってきます。5月には山頂付近の沢には雪が残り、稀に雪が降ることもあります。標高1700m以上のエリアは、気候的には北海道と同じくらいなのです。そのため、石鎚山系の麓には、温暖な場所に生育する照葉樹林が拡がり、標高1000m以上ではブナを代表とする落葉広葉樹が生育し、山頂付近には寒冷な環境に生育する木が見られるという、全国的にも稀な垂直分布が存在しています。

(ショウジョウバカマ)

(アケボノツツジ)

石鎚に最初に春を知らせるのは、ショウジョウバカマの花です。その後、スミレの仲間やヤマザクラ、オオヤマザクラが咲き、アケボノツツジの開花で春は盛りを迎えます。花の開花につれてオオルリ、キビタキ、コマドリなど夏鳥たちも南から渡来し、森の朝は賑やかな鳥たちの鳴き声で包まれます。コマドリは石鎚山を代表する鳥の一つで、愛媛県の県鳥に選ばれています。倒木などの上で鳴く、「ヒン、カラカラカラ」という、涼しげな囀りは、登山の疲れを癒してくれます。石鎚山系のコマドリは特に鳴き声が良いとされ、かつては「石鎚駒」という名で知られていました。

(コマドリ)

※ショウジョウバカマは山麓では3月下旬

※アケボノツツジは、標高1000m以上に生育し、4月下旬から開花。UFOライン沿いや黒川山が観察しやすい。

※コマドリは4月下旬に山麓に渡来し、徐々に高標高域に移動。土小屋から二の鎖の間や、成就社から前社ケ森間で見られることが多い。